収納の巣

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トライ&エラーを繰り返してたどり着いた、モノとの心地いい関係

階上の子ども部屋から見下ろせる、明るい光にあふれたリビング。愛用のシュロほうきを手に、ささっと掃除するのも楽しいひととき。

ご主人のお仕事の関係で、結婚以来5回もの引っ越しを経験された乾さん。
行く先々であれこれ工夫しては、またリセットして、の繰り返しが貴重なレッスンに。
ご自分やご家族のクセと向き合って生まれた“心地よい暮らし”のルールとは?

いつも気持ちよくいたいから、お気に入りの道具でこまめに楽しくお掃除。

広々とした空間に、厳選されたモノをセンスよく配したシンプルインテリア。結婚以来、引っ越しが多かった乾さんは、そのたびに所有するモノや収納の方法を見直す“暮らしのリセット”を行ってきました。
「ナチュラル系のインテリアが好きという基本は昔から変わっていないんですが、以前はもうちょっとごちゃっとしていたかな。引っ越しのたびに暮らしがスリムになっていく感じでした」。
以前は散らかった部屋を片付けてやっと掃除、というパターンだったといいますが、モノを厳選したことと、モノが収まるべき定位置に収まる仕組みを作ったことで、今は掃除もぐんとラクに。掃除機をかけるまでもない汚れは、お気に入りのシュロほうきを使って、ささっときれいにしてしまいます。見えるところに置かれていても絵になる昔ながらの掃除道具は、乾さんが独身時代から愛用している籐のカゴなど、天然素材の雑貨にもしっくりマッチ。日々の掃除を楽しくしてくれる相棒です。必要な掃除道具をすぐ手に取れるよう、家じゅうのあちこちに点在させておくのも、まめに拭いたり掃いたりが苦にならないコツとか。
「モノが散らかると掃除が億劫になって、汚れも溜めてしまいがちですよね。今では片付け・掃除に時間がかけられない時でも、ほどほどにきれいな状態をキープできるようになりました」。

リビングからは死角になって見えにくいコーナーに、シュロのほうきや、羽根はたきなど愛用の掃除道具を。出していても絵になる道具を選ぶのがポイントです。

玄関脇のウォークイン収納にコードレス掃除機の置き場所を確保。その上の小さな空きスペースには、自転車の鍵、印鑑などを入れたカゴや、家族の思い出写真をセンスよく置いて。

リビング奥のクローゼットには家族の普段着を。この仕組みにしてからは、脱いだ服を置きっぱなしにするご主人のクセも解消し、より片付け・掃除がラクになったそう。

洗濯物を畳んで片付けるのが苦手…。そんな弱点も同線の工夫で克服!

では乾さん流の散らからない仕組みづくりとは、一体どんなもの?
「実は洗濯物を畳んで片付けるのが苦手で…(笑)。これまでは、取り込んだ洗濯物が部屋の片隅で山になってしまって、結局みんな着るものをその山から引っ張り出す、という繰り返しでした」。今の整然とした空間からは想像もつかない発言が!その苦手意識を克服できたのは、ほかならぬ「動線の工夫」のおかげでした。今では、ベランダに干していた洗濯物をピンチハンガーごと取り込み、洗面所やクローゼットなど収納場所に直行。天井に設置したバーに掛け、そのまま間髪入れずに「ピンチから外す→畳む→しまう」という一連の動作をやってしまえるようにしたのです。散らかる元凶だった、「後で片付けよう」とリビングに洗濯物をちょい置きしてしまう習慣もこれで解消。家族の衣類を各人の寝室に収納するという考えを捨て、みんなの肌着やパジャマを洗面所の棚に、それ以外の普段着はリビング奥のクローゼットに集約したのもミソです。衣類以外でも、娘さんたちの勉強道具から掃除機にいたるまで、とにかく「使う場所を定位置に」を徹底し、散らからない仕組みを作り上げています。悩みのタネだった床や食卓の「出しっぱなし・置きっぱなし」がなくなり、乾さんのストレスもずいぶん減ったとか。

ベランダからキッチンを通って洗面所に直行できるため、取り込んだ洗濯物がリビングで山になる悩みは解消。「いろんな部屋の天井にバーを取り付けたのも大正解」と乾さん。

食卓は、みんなの勉強机にも作業台にもなるため散らかりがち。でもこの大型収納のおかげで、何でも手の届く範囲に使いやすく収まり、食卓の上はいつもすっきり。

お絵描き好きな娘さんのため、ソファ前のローテーブルに一番手近な引き出しを、お絵描き道具一式の収納場所に。終わったら自分で片付けるという習慣づけにも一役買っています。




歳月を重ねて見つけた好きやこうありたいという思いをカタチに。

かつて多忙で体調を崩した経験や、出産・子育ての日々を経て、“おうち時間の大切さ”を実感するようになったという乾さん。引っ越しによるリセットのチャンスごとに、収納のプロによる雑誌記事や書籍のほか、インテリア好きブロガーが綴る記事なども参考にしながら、トライ&エラーを繰り返してきました。
「なるほど!という収納・お片付けのアイデアは、どんどん真似して取り入れてみましたし、賃貸では叶えられない仕組みについては、いつかはあんなことや、こんなことができたらいいな、と夢をためていたんです」。エコ家事など自然派暮らしを愛する乾さんの念願叶って、木の家を建てたのが2012年のこと。「整理収納への関心が高い乾さんの思いを、対話を重ねてカタチにしていくのはやりがいがありました。また、いつお邪魔してもこのキレイな状態なんです」と話すのは、設計施工を手がけた株式会社ケイ・ジェイ・ワークスの山口さん(現 阪神支店所長)です。今まで温めてきた“好き”や“こうなりたい”という思い、そして共感・信頼できる家づくり工務店との出会いによって、住み心地のよい住まいがカタチになりました。
「昔は出かけるのが大好きで、予定をあれこれ詰め込みたいタイプだったけど、今は本当に家が好き」と乾さん。試行錯誤の末にたどり着いた“心地よい暮らしのルール”は、引っ越しというリセットがなくなっても、これからもアップデートを繰り返しながら磨き上げられていきそうです。

日当たりのよい階段の壁面は、収納力たっぷりの子ども用本棚に。開放的であたたかみのある木の空間だから、娘さんたちにとっては階段だって心地よい読書用特等席になるのです。

「家を建てて終わりじゃなく、お客様のその後の暮らしも見つめていたい」と設計施工を手がけた、木の家づくり工務店 株式会社ケイ・ジェイ・ワークスの山口さん。今回の取材に立ち会ってくださった様子を、ご自身のブログに綴られています。


収納アイデア見せてください

エコ家事に欠かせない
重曹も使いやすく工夫
毎日の家事に、重曹や石けんを愛用している乾さん。台所では、シュガーディスペンサーに重曹を入れて、いつでも手に取れるよう置いています。しまい込むより便利で、適量をふりかけやすく、見えていてもおしゃれなのがさすが。
ラベルライター活用で
分類整理が劇的に進化
文字で見える化することで、探し物の手間が大幅に短縮!取扱説明書や保証書は、クリアファイルに入れラべリングしてファイルボックスに。特に家族に知っておいてもらいたいモノには、大きく目立つラベルを使うなど工夫しています。
クローゼットブランコ
にはこんな使い方も!
ふだんの着替えはリビング奥で完了するため、階上の子ども部屋のクローゼットにはシーズン外の衣類や小物などを収納。クローゼットブランコとS字フックを利用して帽子をかけ、空間を有効活用。帽子の収納場所に困っている人は要注目です。

乾さんの
収納マイルール

ふだんのお片付けはいつ、
どのぐらい?
朝家族を送り出したら、テーブルやソファにあるモノを片付け、玄関とトイレを掃除するところまでが毎日のルーチンで約15分ほど。あとの掃除はその日の予定次第ですが、そこそこ片付いた状態が保てるようになっています。
モノの適正量、
どうやって決めている?
セーターならこの引き出しひとつ分、と決めて、そのスペースからあふれるほどの量は持たないようにしています。この家に引っ越してから、これまで以上にモノは厳選するようになりました。
「これは捨てなくてもOK」と
決めているものはなに?
本。夫も娘も本が好きなので、本はまだまだ増えると思いますし、それを見越して収納場所をたっぷり作っています。

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